道垣内:信託法第2版67頁は、受益権説を支持しており、「(遺留分算定の基礎となる)相続財産の価額は、信託財産に属する財産ではなく、受益権の価額を基準として算定され、受益権取得によって他者の遺留分を侵害した受益者は、金銭的な支払義務を遺留分権利者に対して負うことになると考えるべきである。」としている。さらに、同68頁は、「受益権を取得した者が、他者の遺留分を侵害していないときでも、受託者として利益を得ている者(たとえば、信託報酬が多額の場合や、信託財産に属する不動産を管理のためという名目で実質的には利用できるときなど)や、帰属権利者として利益を得ている者が存在する場合には、・・遺留分を侵害していると評価できる。」「東京地判平成30・9・12は、・・改正後の遺留分侵害額請求制度のもとでは、受託者が利益を得ているのだから、受託者に対して侵害額の支払いを請求できるというべきであろう。」としている。
受益者連続信託(遺言代用信託)における遺留分の考察その5(信託と遺留分ー道垣内説)
2025.01.11